マーサ三宅

オンタマ独占インタビュー!!!
 
日本のジャズヴォーカル界の至宝「マーサ三宅」さん。25歳の時から第一線で活躍し、今も尚、その歌声で多くの人を魅了し続ける彼女の最新作が11月25日に発売されるとのこ
と。今回はその発売に先駆け、録音を終えたというマーサさんに最新作に込めた想い、そして長い歌手生活でのこと等、多岐に渡ってお話いただいた。
 
―この度、約8年ぶりとなる新録作品の録音を終えたとの事ですが、録音を終えてみていかがですか。
M 「すごく音が良くて細かく綺麗に録ってくださって、本当にいい物を作ろうという意気込みが感じられましたんで、とても嬉しく思っています。完成するのを本当に楽しみにしています。」
 
 
―その新作ですが、録音が決まるまでの経緯を簡単に教えて頂けますか?
M 「以前雑誌のインタビューで小西啓一さんにお会いした事があったんですけど、その時に、新譜は出さないんですか?って聞かれたんですね。それで録ってくださる方がいらっし
ゃらないかしら?というお話をしていたら、今回録音してくださったティートックレコーズの金野さんが挙手して下さった、っていう運びなんですよ。」
 
 
―録音はいかがでしたか?どのように進んでいったのでしょうか?
M「初めはスタジオが遠いから(※)ちょっと心配してたんですね。だけど、空気が良かった。ちょっと外に出た時に、普通のレコーディングスタジオだったらビルの中なわけですよ
ね。だけど今回は目の前には公園があってとても空気が綺麗なので、喉の調子も違いましたね。録音もスムーズにいって、結果的に本当に良かったです。やってみるまで何が起きるか
分からないものですね(笑)。」
(※)読売ランド付近にある「T-TOC STUDIO」にて録音
 
 
―今作の録音にあたって、どのような想いで臨まれましたか?
M 「こういったチャンスはあと何回もあるとは思っていないんです。もしかしたらこれがファイナルになるかもしれない。だから、これまで録音してこなかった曲をやろうっていうのがありましたね。それで、歌いなれたものと、歌いなれていないけれどもジャズシンガーとしてこれは取り上げておかないと、というような曲を入れました。例えば『 ’Round Midnight 』とか『I Remember Clifford』とかですね。アメリカの人は自国語ですから難なく歌っていますけど、日本人にとっては中々大変な曲なんですよ。それに音域も広い歌なので、あんまり日本人は歌ってないですね。歌っているとしても男の人が多いんじゃないかしら。女の人には声の変わり目があって、そこを中々カバー出来ないんであんまり歌っている人はいないですね。そういった事で、意気込みはありました。それと、優しく誰でも歌えるようなものを楽しく歌うっていうのはありますね。ただただ、威張って歌っているようなのはジャズシンガーでは無いですからね。やっぱり楽しみや悲しみを分かち合えるような曲も大切ですからね。そのような感じで、色んなものを選んだつもりです。」
 
 
―今回アレンジはピアニストの北島さんが務められていますが、北島さんとの出会いはいつごろだったんですか?
M「割と昔からリサイタルには出てもらっていたりして、レコーディングでも一度弾いて頂いてるんですね。北島さんはとても大きなもの包み込んでくれる感じがするというか、凄くバイタリティも溢れる方ですね。型にはまらず、ワイルドでどんな方向にもいける、だけど繊細なところもあって。もう、これからぐんぐん伸びていきますね。アレンジを含め、他のメンバーの事なども全てお任せしました。」
 
 
―出来上がってきたアレンジを聴いていかがでしたか?
M「もう素晴らしいですね。あたしの希望も全部受け入れてくれたアレンジをしてくださいました。例えば『ここでブレイクを入れたい』というのがあったら、そのようにブレイクを入れて下さって、全く違和感がないんですね。それにキーに関してもエニーキーOKで、何でも
やってくださいました。すごくスケールの大きな方ですよね。」
 
 
―これからミックスやマスタリングは残していますが、どんな作品に仕上がりそうでうすか?
M「きらびやかで華やかでって言う感じはないですけども、皆さんの心に残る様な作品であればいいなぁと思っていますね。華やかさっていうところでは若い人に勝てないかもしれないですけど、想いとかそういったところでは多くの事を伝えられると思っています。」
 
 
絶えず笑顔で、作品に込めた気持ち等を話して下さったマーサ三宅さん。大きな、温かい人柄がその声からたくさん伝わってきた。発売が今か今かと待ちこがれるばかりだ。
 これまでたくさんの作品を残し、第一線で活躍をなさってきたマーサさんにとって、
“JAZZ”とはどういったものなのか、僭越ながら伺ってみた。「私の場合は本当に生活に密着していますね。もともとは生活の為に歌っていましたしね。歌い始めてから色んな事や色んな出会いがありましたけど、やっぱり努力はずっとしていたんですね。
あれやこれやとやらなくちゃいけないことがあったので。皆さんに伝えたいのは“努力をすればなんとかなる”っていうこと。運ももちろんあったんでしょうけど、やっぱり努力ですね。ボーカルハウスでたくさんの生徒をみていますけど、やっぱり長いこと勉強している生徒はうんとうまくなってる。それでやっているうちにチャンスの様なものがきたら掴んでみる。それが将来の足がかりになっていくんですね。」
 とてもとても大きな言葉を頂戴する事が出来た。歌を志す人に限らず、是非胸にしまってもらえたらと思う。最後に、今後に向けて一言伺うと「体力の続く限り歌っていきたいですね。今も週に1回位は歌ってるんですよ。ライヴとかコンサートとか結構あって。」と仰っていた。今後とも、その溢れ出る愛情を、歌声に乗せて多くの人に届けて欲しいと思う。